うたたね日和♪読書メモ

本との出会い徒然に

 子ども力がいっぱい 

「子育てのことを考えるとき、すぐ頭で考える人は、家族の意見が一致してないと子どもが混乱するなどというが、これほど単純な発想である。子育ての「理論」を考える人は、知らぬ間に精密な機械をつくりあげるようなモデルを考えるので、間違ってしまうのだ。しかも、これらの理論は首尾一貫しているので人を惑わせやすい。人間は機械ではない。矛盾やら不連続性などがあるから面白いのだ。」<帯より>
子どもの頃の話をテーマに、心理学者の河合隼雄さんと七人のプロフェッショナル(山本容子鶴見俊輔筒井康隆佐渡裕毛利衛安藤忠雄三林京子)の対談集。『飛ぶ教室』に掲載されたものを収録したもの。
読んでいて河合隼雄さんが、いかに聞き上手かがよくわかる。対談する相手はまるで魔法にかかったように自分の子ども時代のことを思い出し、心の内を語り始めるのだ。
対談の後の「インタビューを終えて」というコラムも、するどい人間観察と温かでユーモラスな語り口調が読み応えがあった。三林京子さんとの対談では、三林さんご自身が寄稿された「心の中にいつまでも」が最後となった。これからの時代に最も必要とされた方のお一人でなかったかと思う。もっと、たくさんのお話をききたかったし、読みたかった。
「そう。情報がたくさんある。それから物がたくさんある。<中略>昔はいいかげんにやっていたらうまくいったんです。別に親だということをそんなに意識しなくて良かった。ところが今は、すごく考えたり、意識したりしなくちゃならない。<中略>だからよくぶつかってしまう」
「私は、今の子どもたちがかわいそうだと思うんですね。<中略>のべつまくなしに緊張しているわけです。いつも何か決まりきったことしかやっていない。<中略>勝手なことをして、それからパッと変わるということがいちばんいい方法だと思うんですが、今はそれができない。本当にかわいそうですね」