うたたね日和♪読書メモ

本との出会い徒然に

流星と稲妻

 

流星と稲妻

流星と稲妻

 

 『ぼく、剣道って、ちょっと芸術的だと思うんだ。
正しく、美しく、打ち切って一本を取ることを求められる。
ただ強く打つだけじゃだめで、だからこそ、技が光る。

強くなくても、戦える』(扉文より)

善太と宝は小学六年生。同じ剣道の道場に通っている。
善太は、根性がない、あきっぽい。

宝は、弱虫で、引っ込み思案だと思っている。
それぞれ、自分の欠点を自覚しながら、まるで合わせ鏡のように対峙していく二人。いつしか、お互いを認め合い、向かい合うライバルとして成長していく。
二人の視点で交互に描かれているので、心の変遷がわかりやすい。
それぞれの家庭の事情(両親、父と息子の葛藤)をていねいに描くことによって、主人公たちの無意識下に隠された本当の気持ちが、少しづつ掘り起こされていく。
剣道仲間の少女・あげは、師範の絹先生など、二人を見守る人々の言葉が温かい。
表紙画は佐藤真紀子さん。
あさのあつこさん著『バッテリー』へのリスペクトを感じてしまったのは考えすぎ?(笑)