うたたね日和♪読書メモ

本との出会い徒然に

ワケあり式部とおつかれ道長

ワケあり式部とおつかれ道長 (単行本) 作者:奥山 景布子 中央公論新社 Amazon 平安BAR『BARゆかり』。式部ママ、バーテンダー行成の店に次々と当時の平安貴族たち(道長、詮子、繁子、花山天皇、賢子)が来店する。 インタビュアーは出版社の編集者、という…

大掴源氏物語 まろ、ん?

大摑源氏物語 まろ、ん? (幻冬舎単行本) 作者:小泉吉宏 幻冬舎 Amazon 再読。この本を購入したとき(2002年)、NHK大河ドラマに紫式部が主人公で登場するなんて思いもよらなかった。いつかは源氏物語を制覇したいと予習のつもりだったが、結局この本で…

紫式部は今日も憂鬱

紫式部は今日も憂鬱 令和言葉で読む『紫式部日記』 (扶桑社BOOKS) 作者:堀越 英美,紫 式部 扶桑社 Amazon 現代風な話し言葉で書かれているので読みやすかった。引きこもり勝ちな紫式部が次第に女房としてキャリアを積んでいく姿が記されている。 「女三…

いつまで ~しゃばけシリーズ~

いつまで 作者:畠中 恵 新潮社 Amazon しゃばけシリーズ第二十二弾。ひょんなことから五年後に落ちてしまった若旦那。 個性あふれる妖しの仲間たちは少しも変わっていないのに、人である於りんちゃんは美しい娘さんに成長していた。 初登場の以津真天(いつ…

小公女たちのしあわせレシピ

小公女たちのしあわせレシピ 作者:谷 瑞恵 新潮社 Amazon 子どもの頃読んだイギリス児童文学に登場するお菓子たち。美しいレシピつき。 記憶喪失の女性が何十年も、どうやったら身ぎれいを保ち、ホテルに泊まれ、秘密の花壇を守り、豚のムシャムシャを飼える…

思い出の屑籠

思い出の屑籠 作者:佐藤愛子 中央公論新社 Amazon 屑籠とは「紙くずなどを捨てるかご」とある。筆者らしい潔いタイトルだが、けっしてそうではないことがわかる。 大正から昭和初め、筆者の幼少期から小学校時代までの思い出、珠玉のエッセイ。 現代において…

フォグ 霧の色をしたオオカミ

フォグ 霧の色をしたオオカミ 作者:マルタ・パラッツェージ 岩崎書店 Amazon 正統派のイギリス児童文学。希少なオオカミを救おうとする少年のお話。舞台は19世紀ビクトリア王朝時代。孤児となった主人公クレイと彼をとりまく友人たち、恩人との固い絆。そ…

はざまの万華鏡写真館

はざまの万華鏡写真館 (KADOKAWA TSUBASA BOOKS) 作者:廣嶋 玲子 KADOKAWA Amazon 廣島玲子さんによる不思議譚。そういえば写真の日本伝来は江戸時代。当時は人の魂を吸い取ると恐れられていたときく。 魂とその人にとって替えがたいあるものとの交換という…

パッキパキ北京

パッキパキ北京 (集英社文芸単行本) 作者:綿矢りさ 集英社 Amazon 作者さんの中国滞在エピソードが随所にいかされていて、ドキュメントしても小説としても楽しく読めた。 主人公の菖蒲(あやめ)さんは、現代(いま)を生きるカッコイイ女性だと思う。 ひと…

お探し物は図書室まで

お探し物は図書室まで 作者:青山 美智子 ポプラ社 Amazon 一人称で5話の連作。それぞれの主人公はコミハ(コミュニティハウス)にある図書室で繋がっている。 司書の小町さんの存在が圧巻だった。『銭天堂シリーズ』(廣島玲子・著作)の紅子さんがふと浮か…

じい散歩

じい散歩 (双葉文庫) 作者:藤野千夜 双葉社 Amazon 主人公新平さん89才、妻の栄子さん88才、軽度の認知症疑い。長男と三男は中年を過ぎても独身で同居中。独立している次男は長女を自認している。 言わばいろいろ抱えている家族なのだが、新平さんはただ…

十年屋7 タイムセールいたします

十年屋7 タイムセールいたします 十年屋シリーズ 作者:廣嶋玲子 静山社 Amazon 十年にゃ、じゃなくて十年屋でタイムセールとはいったい?と思っていたら、いつもとは違う起承転結の運び。新鮮だった。イチゴのエピソードからのイチゴ終わり。最後はびしっと…

チーム紫式部

チーム紫式部! 作者:楠木 誠一郎 静山社 Amazon 子供たちには古典への興味を持つきっかけになるかもしれない。 ただこの物語をうのみにするとちょっとこまる 歴史物好きにはやっぱりこのシリーズかな↓ 平安姫 かがやく宮廷の才女たち 紫式部、清少納言 ほか…

おつとめ

おつとめ 〈仕事〉時代小説傑作選 (PHP文芸文庫) 作者:宮部 みゆき,梶 よう子,永井 紗耶子,中島 要,泉 ゆたか,桑原 水菜 PHP研究所 Amazon 永井紗耶子、宮部みゆきさん以外は初めての作家さん。どの短編もテーマ「おつとめ」に繋がっている。 『ひのうえまの…

ぼくらの㊙課外授業

ぼくらのマル秘課外授業 (ブルーバトンブックス) 作者:佐和みずえ 小峰書店 Amazon 学童クラブとそこに通う六年生、四人の子供たち。主人公の良祐を中心にホームレス、家庭、働き方、死生観、初恋とテーマは広がっていく。 児童小説だが、伝えにくいことでも…

ひみちだけど、話します

ひみつだけど、話します 作者:堀川理万子 あかね書房 Amazon ある町の三年三組の子供たち四人が主人公。五編連作でひとつの物語になっている。 小学生が等身大に描かれていて、読後やさしい気持ちになれる。 今度、足立さんのマネをして電車をながめてみよう…

平安姫 かがやく宮廷の才女たち

平安姫 かがやく宮廷の才女たち 紫式部、清少納言 ほか (集英社みらい文庫) 作者:藤咲 あゆな,マルイノ 集英社 Amazon 読者対象年齢が小学上級・中学からとなっている。歴史上の人物を主人公にストーリー仕立てで読ませてくれる。 当時の国名マップ、章タイ…

キオクがない!

YA

キオクがない! (文研じゅべにーるYA) 作者:いとうみく 文研出版 Amazon <表紙>から<もくじ>へのイラストが物語の始まりと連動して視覚的にインパクトがあった。主人公孝太郎の過去が解き明かされて行く過程を追ううちに読了。中学生向き。 閑話休題 読ん…

忘れないでおくこと 随筆集:あなたの暮らしをおしえてください 2

忘れないでおくこと 随筆集 あなたの暮らしを教えてください2 (随筆集 あなたの暮らしを教えてください 2) 作者:町田 康,江國香織,酒井駒子,ヤマザキマリ,保阪正康,潮田登久子,関 容子,鴻巣友季子,片岡義男,小池昌代,近田春夫,斎藤明美,半藤一利,岩政伸治,角…

サヨナラどーだ!の雑魚釣り隊

サヨナラどーだ!の雑魚釣り隊 作者:椎名 誠 小学館 Amazon 魚釣りは無知だが、臨場感あふれるエッセイに乗船させてもらって楽しかった。 途中、危うく船酔いしかけましたが(笑) 歓喜あふれる笑顔の集合写真がよかった。 もし海に仙人がいるとしたら、椎名さ…

獣の夜

獣の夜 作者:森 絵都 朝日新聞出版 Amazon タイトルから想像していたものとは良い意味で違った。森絵都さんの綴る文章からは、心地よいリズムみたいなものを感じる。 どの短編も日常から非日常に至るまでのあわい(本文中の言葉を借りれば)を漂うようでいて…

作家 超サバイバル術

作家 超サバイバル術! 作者:中山 七里,知念 実希人,葉真中 顕 光文社 Amazon 三人の人気作家さんが真正面から指南する新人作家さんたちへの処世術・・・深い。 書く人ではなくて読む人側でよかった。本を純粋に楽しめるのは幸せと知る。 「創作意欲と自己肯…

天神さんが晴れなら

天神さんが晴れなら 作者:澤田瞳子 徳間書店 Amazon 澤田瞳子さんのエッセイは初めて読んだ。歴史、食、旅、芸術など、話題は多岐に渡る。京都在住ならではのはんなりとした雰囲気が文章全体に流れている。先輩作家・葉室麟さんへの憧憬『土筆を摘む人』の話…

こんな感じで書いてます

こんな感じで書いてます 作者:群ようこ 新潮社 Amazon 群ようこさんの作家生活も四十年近くなるそうで、となると群さんのエッセイを好んで読んできた読者(わたし)も筋金入りではあります。 読むことは書くことに繋がる、常に自然体でぶれない群さんの作家…

アンの娘リラ

アンの娘リラ 赤毛のアン (文春文庫) 作者:L・M・モンゴメリ 文藝春秋 Amazon 文春文庫版『赤毛のアン』シリーズ全八巻、ついに最終巻となりました。村岡花子さん訳の『赤毛のアン』にこだわってきた数十年。(もちろんそれは今でも宝物なのですが)読了した…

2023年☆心に残った本

今年はコロナが五類に落ち着き、マスク着用も特定の場所以外は解放されました。 世界の気候はますます温暖化が進み、平和だった時代は過ぎ去りました。 それでも本は変わらない。 いつでも、どこでも、手に取るだけで別世界に連れて行ってくれます。 今年も1…

祖母姫、ロンドンに行く!

祖母姫、ロンドンへ行く! 作者:椹野道流 小学館 Amazon 図書館に予約してから数か月。期待に違わず面白かった。 誇り高き祖母(姫)とわたし(秘書?・笑)の五泊七日のロンドン旅行。 エッセイでは、ずいぶん昔の話と書かれている。現在のイギリスと比べる…

6+1の不思議

6+1の不思議 作者:斉藤洋 講談社 Amazon 小学生のときの同級生たち六人が五十年ぶりに会うことになった。作家である「わたし」に、小学生のときの体験話をきいてもらって、一冊の本にまとめてほしいという。 六人がそれぞれ話す六つの章と、+1は作家で…

彗星とさいごの竜

彗星とさいごの竜 作者:今井 恭子 小学館 Amazon 日本昔話とファンタジーとSFがうまい具合にブレンドされたようなお話。 地球を彗星から守るべく立ち上がった少女アイリーン。彼女の向こう見ずなほどの勇気に、<ひとりぼっちの竜>は眠っていた力と竜のほ…

老害の人

老害の人 作者:内館牧子 講談社 Amazon 『老害』とは手厳しい。苦笑しつつ、世話になった諸先輩たちには申し訳ないと思う。誰も行きつく先はわからないのだから。コロナ禍の後期高齢者たちが試行錯誤や挫折を繰り返し、やがて自分たちの居場所(利他)を見つ…