うたたね日和♪読書メモ

本との出会い徒然に

一般小説

小公女たちのしあわせレシピ

小公女たちのしあわせレシピ 作者:谷 瑞恵 新潮社 Amazon 子どもの頃読んだイギリス児童文学に登場するお菓子たち。美しいレシピつき。 記憶喪失の女性が何十年も、どうやったら身ぎれいを保ち、ホテルに泊まれ、秘密の花壇を守り、豚のムシャムシャを飼える…

パッキパキ北京

パッキパキ北京 (集英社文芸単行本) 作者:綿矢りさ 集英社 Amazon 作者さんの中国滞在エピソードが随所にいかされていて、ドキュメントしても小説としても楽しく読めた。 主人公の菖蒲(あやめ)さんは、現代(いま)を生きるカッコイイ女性だと思う。 ひと…

お探し物は図書室まで

お探し物は図書室まで 作者:青山 美智子 ポプラ社 Amazon 一人称で5話の連作。それぞれの主人公はコミハ(コミュニティハウス)にある図書室で繋がっている。 司書の小町さんの存在が圧巻だった。『銭天堂シリーズ』(廣島玲子・著作)の紅子さんがふと浮か…

じい散歩

じい散歩 (双葉文庫) 作者:藤野千夜 双葉社 Amazon 主人公新平さん89才、妻の栄子さん88才、軽度の認知症疑い。長男と三男は中年を過ぎても独身で同居中。独立している次男は長女を自認している。 言わばいろいろ抱えている家族なのだが、新平さんはただ…

獣の夜

獣の夜 作者:森 絵都 朝日新聞出版 Amazon タイトルから想像していたものとは良い意味で違った。森絵都さんの綴る文章からは、心地よいリズムみたいなものを感じる。 どの短編も日常から非日常に至るまでのあわい(本文中の言葉を借りれば)を漂うようでいて…

老害の人

老害の人 作者:内館牧子 講談社 Amazon 『老害』とは手厳しい。苦笑しつつ、世話になった諸先輩たちには申し訳ないと思う。誰も行きつく先はわからないのだから。コロナ禍の後期高齢者たちが試行錯誤や挫折を繰り返し、やがて自分たちの居場所(利他)を見つ…

物語の種

物語の種 作者:有川 ひろ 幻冬舎 Amazon どの物語もさくっと読めてほっこりする。 心にふっと浮かんだ言の葉をプロの作家さんが育んでくれる。 素敵な企画ですね。 暗くなりがちな世情に一服の安らぎを。 宝塚愛があふれているのも微笑ましい。

窓ぎわのトットちゃん 新組版

窓ぎわのトットちゃん 新組版 (講談社文庫) 作者:黒柳徹子 講談社 Amazon ずいぶん前にハードカバーで読んだ。みんなで読み合ううちにいつのまにか行方不明になってしまった。 続編が出版されたので文庫本を購入した。トットちゃんの世界に再び邂逅。詳細は…

その本は

その本は 作者:又吉直樹,ヨシタケシンスケ ポプラ社 Amazon 人気絵本作家のヨシタケシンスケさんと芥川賞作家の又吉さんが『その本』について王様に語る千夜一夜(十三夜だけど)。 又吉さんは最初、小ネタでちょっと笑えるショートショート路線?と思いきや…

掬えば手には

掬えば手には 作者:瀬尾まいこ 講談社 Amazon 読後優しい気持ちになれる。 酷暑の中(2023年夏.現在)ホッとひと息、清涼の風。 あまのじゃくな大竹さんが主人公のアナザーストリー特典もよかった。

かっかどるどるどぅ

かっかどるどるどぅ 作者:若竹 千佐子 河出書房新社 Amazon 一人称で語られる物語は、登場人物の闇に分け入って、繊細で緻密。 巧みな筆力で暴いてみせる。 途中から、ややこってり気味のこの文章に、ついていくのが辛くなってきた。 もちろん個人的な好みだ…

ここが終の住処かもね

ここが終の住処かもね 作者:久田恵 潮出版社 Amazon サービス付き高齢者向け住宅「サ高住」。主人公のカヤノ・70歳はそこに住んでいる。きままな一人暮らしを満喫しつつも、人間関係や親子関係では頭を悩ますこともある。黄昏の淡い恋と失恋(ちなみに、ま…

木挽町のあだ討ち

木挽町のあだ討ち 作者:永井紗耶子 新潮社 Amazon ひとりの若侍が江戸の人気芝居小屋を訪ねる。二年前に起こった木挽町のあだ討ちのことをききたいという。物語はあだ討ちを見た者たちの一人称で語られる。 木戸の一八、立師の与三郎、女形のほたる、道具係…

芦屋山の手お道具迎賓館

芦屋山手 お道具迎賓館 作者:高殿 円 淡交社 Amazon お茶の素養がないので深くは知りえなかったが、擬人化されたお道具さんたちとの歴史探訪はどこかわくわくした。最後に、ほうっかむりさんのアウェイ感がみんなの危機を救うことになる顛末が頼もしく面白か…

バナナケーキの幸福 ~アカナナ洋菓子店のほろ苦レシピ~

バナナケーキの幸福 アカナナ洋菓子店のほろ苦レシピ (PHP文芸文庫) 作者:山口 恵以子 PHP研究所 Amazon 本を読んで幸せな気持ちになれる。心が温まる。美味しいパウンドケーキを食べたときのように・・・。やっぱり食べ物系の小説はこうでなくっちゃ(笑) 巻…

おいしいごはんが食べられますように

おいしいごはんが食べられますように 作者:高瀬隼子 講談社 Amazon おいしそうな食べ物や手作りのお菓子などを、人間の心のことさら黒い部分を掘り起こし、もったいないほどまずくしてしまう。食べ物を媒介して得る幸福感にあえて挑戦したような作品。最後ま…

機械仕掛けの太陽

機械仕掛けの太陽 (文春e-book) 作者:知念 実希人 文藝春秋 Amazon コロナが五類相当になった。まだ安心には時が必要な気がするけれど、ひとつの区切りではあるのかな。あれから三年余の月日が流れたのだと感慨深い。 最前線に立った医療従事者のみなさまに…

真壁家の相続

真壁家の相続 (双葉文庫) 作者:朱野帰子 双葉社 Amazon 北大路公子さんの著作のどこかで、この本のタイトルを見かけて手に取った。 祖父の死とそれに伴う相続。それまで円満だった親戚関係がどんどんと崩れていく。 主人公の大学生りんの視点を通してシビア…

奉還町ラプソディ

奉還町ラプソディ 作者:村中 李衣 ビーエル出版 Amazon 昭和の香りがする奉還町商店街。そこに住む人々(おもに高齢者)の姿が生き生きと、ときに詩的に描かれる。 現実と淡いの境界線におおらかで温もりのある暮らしが浮かんでくる。主人公のさとるとあつし…

こいごころ  しゃばげシリーズ第21弾

こいごころ【しゃばけシリーズ第21弾】 作者:畠中恵 新潮社 Amazon シリーズ毎回楽しんで読んでいます。今回はキャラクター総出演って感じの「せいぞろい」、妖しのせつない恋「こいごころ」が印象に残りました。 次の巻では、そろそろ登場人物表が欲しいと…

終活中毒

終活中毒 作者:秋吉 理香子 実業之日本社 Amazon 人生の最後に向き合う人々の波乱含みドラマ四篇。 『SDGsな終活』真美子さんが、怖かった~。 『最後の終活』真実があきらかになり、親子の絆がよみがえる。よかった、よかった。 『小説家の終活』どうなるか…

三千円の使い方

三千円の使いかた (中公文庫) 作者:原田ひ香 中央公論新社 Amazon 年代の異なる女性4人、それぞれの立場から考えるお金の使い方と人間模様。 琴子の前向きさ、真帆の堅実さ、智子の憂いなどが印象に残る。 美帆はこれからの道程が気になる。 垣谷美雨さんの…

ショートケーキ。

ショートケーキ。 作者:坂木 司 文藝春秋 Amazon ショートケーキにまつわる短編5編。 「ホール」「ショートケーキ」「追いイチゴ」「ままならない」「騎士と狩人」 前半三篇は連作、あとの二編は独立している。どの物語も口当たりが甘くふんわりやさしい。…

さくらほうさら

桜ほうさら(下) (PHP文芸文庫) 作者:宮部 みゆき PHP研究所 Amazon 桜ほうさら(上) (PHP文芸文庫) 作者:宮部 みゆき PHP研究所 Amazon 『きたきた』シリーズから『初ものがたり』そして『桜ほうさら』と江戸語りを巡ってきました。再読だったのに、内容をす…

奇跡

奇跡 作者:林真理子 講談社 Amazon 取材に基づいたフィクションであるということでした。 歌舞伎界や芸術のことは正直わからなくて(テレビや雑誌くらいでしか)いろいろ大変そうだなと思いました。 こういう関係性を長く保っていられたことは、二人の愛情が…

姑の遺品整理は迷惑です

姑の遺品整理は、迷惑です (双葉文庫) 作者:垣谷美雨 双葉社 Amazon もはや切実な問題として遺品の整理というとてつもない作業を赤裸々にリアルに描いている。体力的にも経済的にも追い詰められていく主人公が、次第に遺された品々から、亡くなった姑の人生…

虹いろ図書館のかいじゅうたち

虹いろ図書館のかいじゅうたち (5分シリーズ+) 作者:櫻井とりお 河出書房新社 Amazon 読後、本作がシリーズの三巻目であるということを知り、びっくりしました。 独立した物語として、じんわり感動していましたので。 どうりで知らない名前の登場人物が唐突…

推し、燃ゆ

推し、燃ゆ 作者:宇佐見りん 河出書房新社 Amazon 「推しが燃えた」書き出しの一行。グッと引き込まれる。 知らない単語がいくつか。「チェキ」ってなんだ? SNSの独特な言い回しが、おばちゃん(←私)には新鮮に響く。 若さあふれる表現に目を回しつつ読…

赤毛のアン

赤毛のアン 作者:ルーシー・モード・モンゴメリ,北澤 平祐 講談社 Amazon 村岡花子さん訳に親しんだ世代として、うれしい改訂版。 『たちの悪い感冒』は『インフルエンザ』に変わり、『いちご水』はそのまま起用されていた。よかった。『いちご水』って言い…

李王家の縁談

李王家の縁談 (文春e-book) 作者:林 真理子 文藝春秋 Amazon 出だしの三行で梨本宮伊都子妃の人物像が定まる。 語り部としての伊都子妃の視点は、やんごとなき方々の世界の変遷(明治から昭和)をわかりやすく説いてくれる。 伊都子妃の日記から、この歴史小…