うたたね日和♪読書メモ

本との出会い徒然に

 元禄の雪

元禄の雪 (白狐魔記)

元禄の雪 (白狐魔記)

「時は江戸時代中期。元禄十四年。俳諧や歌舞伎など町の文化が花ひらき、人びとは天下泰平の世を謳歌していた。しかし白狐魔丸は江戸城から強い邪気がただよってくるのを感じる。赤穂事件がおきたのは、その直後だった」(表紙文より)
有名な『赤穂浪士の討ち入り』を白狐魔丸の公平な視点から、史実が劇化されていく課程をリアルに描く。
歴史上の人物のキャラクター設定が秀逸。
清水義久、後の一角(実直な吉良家、家来)。大高源吾(浅野家、家臣。武士でありながら俳人)。浅野内匠頭(短気・直情型の君主)吉良上野介(祀り事など造詣が深く穏やかな好々爺)
他に内匠頭、辞世の句の解釈や、大石内蔵助の本音など。
物語と史実が糸を紡ぐように絡み合っていくのが面白い。
特にラストのオチは斉藤洋さんオリジナルの『赤穂浪士』だ。必読。
このシリーズ、最初から読み直したくなった。文庫化されて一般書として出版されないかなあ。