うたたね日和♪読書メモ

本との出会い徒然に

 雨月物語〜ストーリーで楽しむ日本の古典〜

執筆者が翻訳家の金原さん、挿絵が佐竹美保さん、となれば、是が人も読みたいと手に取ってしまった。
内容は予想以上。恥ずかしながら古典は苦手なので『雨月物語』というのはタイトルこそ知ってはいたが、内容に関してはまったくの白紙状態だった。
読んでみて『白峰』が昨年の大河ドラマ平清盛崇徳上皇編に大いに関わっていたことを今更ながら知った。いくつになっても人生の初めて物語はあるものだ。
サブタイトルから、古典をただ児童向けにやさしく要約したものと思ったら、とんでもない。
とある中学校の文芸部員たちが、古典を一人一編づつ読み解き、感想を発表していくという形をとる。読者としては、発表する中学生と同じ目線で古典を楽しむことができるという仕組みだ。しかも、この中学生たちにも別の物語がある、という多重構造で読ませてくれるのだ。
ある意味思い切った構成に賛否両論はあるだろうが、個人的には「最後にひとこと、ふたこと、みこと」なんて最高に楽しかった。
きっとこの本を読んだ子供たちの中にも創作の楽しさに目覚める子が生まれるに違いない。物語中に出てきた本や落語もぜひ読んだり聞いたりしたいと思ったものだ。