十年にゃ、じゃなくて十年屋でタイムセールとはいったい?と思っていたら、いつもとは違う起承転結の運び。新鮮だった。イチゴのエピソードからのイチゴ終わり。最後はびしっとハッピーエンドだ。
ポーさんとツルさんのお祝いパーティで魔法街の住人達が集結する。シリーズを読んできてよかったと思ったひととき。
佐竹美保さんのイラストも、いつもながら素晴らしい。絵の魔法にかかったキャラクターたちが物語の中で生き生きと暮らしている。楽しかった。
永井紗耶子、宮部みゆきさん以外は初めての作家さん。どの短編もテーマ「おつとめ」に繋がっている。
『ひのうえまのおんな』『鬼は外』は再読だが何度読んでも新鮮。さすがだ。
『道中記詐欺にご用心』は現代語を交えて読みやすかった。
『色男』は主人公のその後が知りたいと思った。
「暖か湯気と、食欲をそそる匂いに包まれた屋台は、冬の夜の海に輝く灯台のようだ。集まった客たちは、船頭ひとりの小さな船である。舳先を寄せ合っていっときの世間の荒波を逃れ、暖をとる」
「思い通りにならないと、しゃにむに口をとがらせ文句を言い、めちゃくちゃな理屈をつけてでも我を張らずにいられない、お金の顔が心に浮かぶ」
~『鬼は外』(著・宮部みゆき)より抜粋~
学童クラブとそこに通う六年生、四人の子供たち。主人公の良祐を中心にホームレス、家庭、働き方、死生観、初恋とテーマは広がっていく。
児童小説だが、伝えにくいことでも、あえてフィルターをかけていないところが新しい。挿絵のイラストが秀逸。
ある町の三年三組の子供たち四人が主人公。五編連作でひとつの物語になっている。
小学生が等身大に描かれていて、読後やさしい気持ちになれる。
今度、足立さんのマネをして電車をながめてみよう。