- 作者: 菅野雪虫
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2008/02/15
- メディア: 単行本
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☆2008/05/018
シリーズ三作目。今回の舞台は巨山(こざん)。主人公のソニンは、<森の民>を救うため、特使しとして北の国に旅立つイウォル王子と行動を共にする。
半島の三国、森に住む民、夢見の才など、ファンタジーらしい設定ではあるけれど、中身はリアリズムに近く、現世界にリンクするところもある。エンタテイメント系ファンタジーと一線を臥す、異色なテイストを持ったファンタジーだ。
評価は過去の二作とも三ツ星であったにもかかわらず、次を読みたくなってしまうという不思議な魅力のある本。
この三作目でようやく、作者が描こうとしているテーマが輪郭を持って浮かび上がってきたような気がする。児童向けファンタジーにはめずらしい、政治的な駆け引きや判断を、物語の中心に持ってきているという点。これは、上橋菜穂子さんの『守り人シリーズ』に共通するものとして、目に新しい。
今後の展開に、注目したいと思った。
- 作者: 菅野雪虫
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2007/02/27
- メディア: 単行本
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☆2007/04/27 (再掲載)
不思議なファンタジーだ。魔法も呪術も派手な立ち回りもないのに、最後まで読ませてくれる。主人公はソニンという、巫女になりそこなった少女。どこにでもいそうな、ごく普通の少女だ。今回は隣国の政治や陰謀に巻き込まれ、自分の大切なひとびとを、知恵と行動力で守ろうとする。ただ淡々と。
作者は善も悪もなく、登場人物を冷静な目で分析する。それはソニンの視点でも伝わってくる。自分で自分のことを、決められるようになったソニン。次巻はどのような成長を見せてくれるか楽しみだ。
- 作者: 菅野雪虫
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2006/06/13
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☆2006/08/06 (再掲載)
『生後まもなく、巫女に見込まれ天山につれていかれたソニンは、十二年間の修行の後、素質がないと里に帰される<中略>三つの国を舞台に、運命に翻弄されつつも明るく誠実に生きる、落ちこぼれの巫女ソニンの物語』
(表紙巻頭文より)
アニメ『少女チャングムの夢』、アンデルセン童話の『白鳥の王子』など、ストーリーも雰囲気も異なるが、読んでいていろいろなモチーフが浮かんだ。
丁寧で素直な文体。勇気と誠実さを兼ね備えたヒロインらしいヒロイン。そして魅力的な登場人物たち。後半のまとめ方は少々、平板だったが、続編に期待を持たせる伏線が上手く張られている。
これからが、とても楽しみな作家さんだと思った。それと、本のイラストが、可愛らしくて♪ 気に入った。