うたたね日和♪読書メモ

本との出会い徒然に

完全版・天狗童子

再読。歴史ファンタジー。前回の「天狗童子」が加筆され完全版となって帰ってきた。ストーリーもだが、プロセスも楽しめる大作となっている。
難解な言葉や文章はなく、本を読むのが好きな子供だったら、中学年くらいから読めると思う。天狗見習い<木っ葉組のカラス天狗>が、とても愛らしかった。(村上豊氏の画も、イメージにぴったり)
主人公の九郎丸は木っ葉組のカラス天狗。一日も早く小天狗になる日を望んでいる。ある日、大天狗さまに、山番の与平のところで笛の修行をせよと命令される。やがて九郎丸をあずかった与平は、九郎丸を人にもどしてやりたくなり、カラス天狗に変化するとき必要なカラス蓑を焼いてしまう。しかし、蓑は爆発して中途半端に焼けただけ。九郎丸は半分人で半分天狗になってしまう。九郎丸の運命はどうなるのか? 九郎丸の本当の父とは?
弟分の茶阿弥、天狗仲間の光男。大天狗、中峰、不意狐院、高円坊。魅力的なキャラクターに溢れている。子供たちは元気で素直、大人は大人らしく威厳がある。会う人々はそれぞれに温かい。殺伐とした戦国時代が舞台なのに、悲壮感はなく、最後まで安心して読める。
前回、かけ足でまとめてしまった感があり、もっと深く読みたいと残念に思っていたが、今回の加筆された完全版によって、それらは払拭された。
☆2006年7月20日『徒歩々日記』より、一部転載、改稿。