うたたね日和♪読書メモ

本との出会い徒然に

 勇者の谷

勇者の谷

勇者の谷

バーティミアス』三部作の作家さん。冒頭から引き込まれた前作に比べると、キャラクターも導入部も、地味に思えるほど淡々としている。ところが主人公のハリが旅に出る二部あたりから、物語はいっきに加速。謎のモンスター、トローの恐るべき真実があきらかになっていく。追いつ追われつの緊迫したシーンが何度もあり、ページをめくるのがもどかしいほどはらはらした。
勇敢な少女アウドは、キティを、勇者スヴェンは、『バーテイミアス〜ゴーレムの眼』のグラッドストーンを彷彿した。底辺に流れる体制への批判と、悲哀に満ちたラストも似ている気がする。