うたたね日和♪読書メモ

本との出会い徒然に

 獣の奏者・外伝〜刹那〜

獣の奏者 外伝 刹那

獣の奏者 外伝 刹那

表題作「刹那」は、エリンの夫イアンの一人称で進む。過去の回想とエリンの出産シーンが交互に語られ、どんどん緊迫感が増していく。
「秘め事」エリンの恩師、エサルの若き日の恋を描く。上橋菜穂子さんの研究者らしい着眼点があらゆる場面で印象に残る。
「初めての・・・」新米ママのエリンと息子ジェシとの心温まるふれあいの日々。こんなときがあったことを知ってうれしい気持ちになった。
筆者による「あとがき」も外伝執筆の経緯を知る上で読み応えがあってよかった。
獣の奏者シリーズ」が壮大なフィクション&ハイファンタジーなら、この「外伝」は、より作者の内面性(研究者としての観察眼、生物の生に関する探究心)に近づいたリアリズム色の濃い小説だったように思う。