うたたね日和♪読書メモ

本との出会い徒然に

世界から猫が消えたなら

<ネタバレ含みます>

映画を見た家人が文庫本を買ってきた。すでに母親や愛猫(「レタス」という名前。二代目の飼い猫は「キャベツ」)は亡くなっているし、父親とは疎遠だし。自分もやがて重い病で死ぬという、とても哀しい物語なのだが悲壮感はない。
主人公が客観的に自分の死を見つめているからで、それは自分と同じ顔をした死神が象徴的である。
現実の死と病を知っていれば、こんな風には書けないだろう。

死神との掛け合いといえば、森絵都さんの『カラフル』が一番に浮かんだ。
生かされている喜びを、実に爽快なラストで表現した。
真実というのは何年たっても色あせないものだ。