うたたね日和♪読書メモ

本との出会い徒然に

 ハブテトル ハブテトラン

ハブテトル ハブテトラン

ハブテトル ハブテトラン

「ハブテトル」というのは、備後弁で「すねている、むくれている」という意味。「ハブテトラン」というのは否定形、なのだそうです。
都会の小学校に通うダイスケが、ある理由で学校に行けなくなる。ダイスケは心配した両親の配慮によって、広島にある松永のおじいちゃんとおばあちゃんの家に、夏休みと二学期の間だけ、身を寄せることになる。
ダイスケの一人称で語られる文章は、淡々として暗さはない。語っているのが本人なので、いやだったことはあえて書かないようにしているのだ。
都会の学校で登校拒否、地方の小学校で癒されて家にもどるという構図は、実際、都会だから、地方だからとかで、単純に良い悪いを分けられるものでないと思うが、この物語は主題はそこではなく、備後弁の取り持つ、人と人とのつながりや、温もり、その土台となる土地の歴史・風土・自然などがテーマなのだと思った。
表表紙と裏表紙を開くと、みかんの木々と穏やかな瀬戸内海にはさまれたしまなみ街道を、マウンテンバイクで快走するダイスケがいた。
物語を読み終えたあとの、余韻を楽しめた。