- 作者: 上橋菜穂子
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2009/08/12
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そのワンシーンだけで、四ヶ月1200枚の物語を書き上げてしまったという。<単行本あとがき><飛び越えていく物語・文庫本あとがき>を読んで驚愕してしまった。
上橋菜穂子さんは、綿密にプロットを立て、精密機械を組み立てていくように小説を書かれる方だと、想像していたからだ。三年前、講演会に出向いたとき、『精霊の守り人』執筆のきっかけが、このインスピレーションであったとおっしゃっていたことを思い出した。プロの作家さんですら稀有な、生まれながらのストリーテラーなのだと思った。
もちろん、土台に人類学者としての知識と経験があるからこそ、リアリティあるファンタジー世界が構築できるのだ。ファンタジーを単なる夢物語とはせず、地に足をつけた実際的な生活を表現することによって、政治をも絡ませた社会派といっていいストーリーが展開される。テーマは一貫して『生命』と『ヒューマニズム』だと思う。
これから、完結編までの二冊と最近出版さた『刹那』まで、いっきに読めないのが辛い。