思い出のマーニー 上・下

思い出のマーニー〈上〉 (岩波少年文庫)

思い出のマーニー〈下〉 (岩波少年文庫)

「・・・はじまりの部分が少し読みにくいかもしれないけれど、どうぞ続けて読んでいただきたい＜中略＞作者と読者の仲立ち、訳者としてのわたしの心を一番大きく占めていることです」（訳者あとがきより抜粋）
読後、＜あとがき＞を読んですごく納得した。じつは訳者の方が危惧されたように、物語上巻の前半で挫折しそうになったからだ。
ところが読み進むうち、すべてが物語にとって、ある出来事の重要なパーツであることに気付かされる。下巻でそれらが見事に収拾されていく展開は、もう爽快というしかない。
丁寧に書き込まれたイギリスの風景描写は、風の香りや海のさざ波の音までが聞こえてくるようだった。
今年、公開されるというジブリの映画も期待している。