うたたね日和♪読書メモ

本との出会い徒然に

 白蓮れんれん

白蓮れんれん (集英社文庫)

白蓮れんれん (集英社文庫)

朝のドラマ『花子とアン』の登場人物、歌人白蓮さんのことが知りたくなって図書館で借りた。
あとがきの「参考文献」「協力してくださった方々」の多さに驚く。加えて宮崎家から提供されたという龍介と白蓮の往復書簡700通など、膨大な取材と資料がこの小説の厚みになっている。白蓮をドラマティックな悲劇のヒロインにしていないのは、その結果だろう。美点も欠点もまるごと、ひとりの女性の生き様として、内面を丁寧に掘り下げている。
伊藤家においては、実に複雑な家庭環境ではあったが、初枝という第三者の視点を交えることで、客観的にストーリーを読むことができた。
読後、白蓮さんの人生の終焉が、穏やかな家庭での日々であったことにホッとした。