- 作者: 林真理子
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2005/09/16
- メディア: 文庫
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あとがきの「参考文献」「協力してくださった方々」の多さに驚く。加えて宮崎家から提供されたという龍介と白蓮の往復書簡700通など、膨大な取材と資料がこの小説の厚みになっている。白蓮をドラマティックな悲劇のヒロインにしていないのは、その結果だろう。美点も欠点もまるごと、ひとりの女性の生き様として、内面を丁寧に掘り下げている。
伊藤家においては、実に複雑な家庭環境ではあったが、初枝という第三者の視点を交えることで、客観的にストーリーを読むことができた。
読後、白蓮さんの人生の終焉が、穏やかな家庭での日々であったことにホッとした。