- 作者: 荻原規子
- 出版社/メーカー: 徳間書店
- 発売日: 2015/02/13
- メディア: Kindle版
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『風神秘抄』を再読してから読んだ。十年のブランクは感じられなかった。草十郎と糸世の時代にすぐにリンクできた。本の世界で二人は生き続けていたんだと思う。
いとうひろしさんの表紙画が相変わらずステキだった。表の赤白入り乱れた神竜の乱舞も、裏のイラストの水引きみたく絡まり合っている神竜も、どことなく家庭的でユーモラスだ。
今回は15歳の源頼朝が主人公。草十郎と糸世は、二人が成し遂げた奇跡を頼朝を救うことによって未来に繋げようとする。
荻原作品にはめずらしく本が薄い。活字の大きさは、『勾玉三部作』『風神秘抄』と同じサイズだったのでホッとしたが、それでも読み進めるたび、栞紐の前後の厚みを見比べてしまうはめになった。「もうあとこれだけ?」なんて(笑)
十年前『風神秘抄』を読んだときの感想に「糸世が行った現代を舞台に続編が読みたい」と書いた。その後出版された『RDGシリーズ』は現代版で主人公が舞い手ではあったが、糸世とは無関係の少女だった。
そして今回、荻原さん流・和製ファンタジー『北条政子』をいつか読んでみたい(希望)と強く思った。すでに『源氏物語』訳本を手がけられている荻原さんだからこそ。期待してしまう。そのときはぜひ同じフォントサイズで、分厚いめの本をお願いします。
私たちの国の大地には、生きた竜がいる。<中略>築いた何ものも持続しないと、思い知るのが国民性になっている。(「あとがき」より)