うたたね日和♪読書メモ

本との出会い徒然に

 かたづの!

情より知力。どんな難題も命に勝るものはない。時をかけ、じっくり考え、耐えて待つ。主人公、祢々の強い生き方に勇気づけられる。
禅問答のような言葉のやりとりはユーモアにあふれ、悲劇的な展開の中にホッと息がつける。魅力的な脇キャラがたくさんいるが、特に河童の川辺孝之進のエピソード(河童煎餅とか)が一番面白かった。こんなところで利根川の河童の女親分・祢々子!に逢えるなんて思いもよらなかった。
ひさしぶりに文庫落ちが楽しみな本に出会えてうれしい。図書館で予約して八カ月も待たされたけど、その甲斐はあった。



「親ならば誰でも、嫁ぐ娘に幸あれかしと、健やかであれかしと願うものです。ところがこの世はままならぬもの、どんなに願っても、人は病や災難に見舞われる<中略>だから覚えておいてください。
不幸や禍はいつだって、あなたを丸ごと呑み込んでしまおうとするのです。
けれども、あなたを呑み込もうとする禍が降ってきたときは、ただそれに身をゆだねてしまわずに、知恵を絞って考えてください。禍に呑み込まれずに抗おうという強い思いがあれば、必ず、向かうべき道が見えてくるものです。だいじなのは、あきらめないことです」

(本文より。嫁ぐ妙様に清心様の贈った言葉)