うたたね日和♪読書メモ

本との出会い徒然に

ニューギニアから石斧が消えていく日

『女二人のニューギニア』を読んで畑中幸子さんの著書も読みたくなって手に取った。

出版は2013年。副題が『人類学者の回想録』とあるように、1965年~1985年の長いスパンで詳細に記録されたドキュメンタリーだった。

人類学者としての畑中氏側から見たかつてのパプアニューギニアは、人も自然も<未開の地>という厳しくも清廉な土地の魅力にあふれていた。

学術的な観点で執筆されている章は私の知識では難解で読み流すしかなかったが、全体から伝わって来るのは畑中さんのすべての人類に対する愛情の深さだったような気がする。

シシミンのマシュウ一家と畑中さんの心温まる交流、マシュウの娘はサチコと名付けられているのだ、と彼らとのおそらく今生の別れになるだろうセスナ機のシーンが、心に残る。