うたたね日和♪読書メモ

本との出会い徒然に

 ルーディーボール

ルーディーボール エピソード1 シュタードの伯爵

ルーディーボール エピソード1 シュタードの伯爵

一見、海外ファンタジーと見まごうばかりの装丁とタイトル。そして、597ページという分厚さ。作者は、日本の児童文学界を代表するお一人、『ルドルフとイッパイアッテナ』の斉藤洋さんだ。デビュー20周年記念のシリーズだとか。それだけに、内容も充実している。力作だ。
斉藤洋さんの騎士物・ファンタジーといえば、『テーオバルトの騎士道入門』『ジーク』が記憶に残るが、この物語はそれに『ルドルフと・・・』『なん者ひなた丸』を合わせてコラボしたような感じ。(どんな感じだ・笑)
かっこいい主人公たちを、かっこよく書かないところ、言葉をとても大切にしているところ、1センテンスを丁寧に重ねて綴っていくところ、なにげにふっと笑えるユーモアがちりばめられているところ、いつもながらの斉藤作品。個性的な手法だ。
心地よい文体の繰り返しに途中不覚にも、睡魔に襲われた。でも、ここで眠ってはならない。なにげに語られているセリフ、登場人物の行動の中に、後で、あっといわせる重大な伏線が隠されているのだから。というわけで、かなり苦戦しながら読んだ。しかし、続巻が楽しみな終わり方をするあたりは、やっぱり、さすがなのだった。