うたたね日和♪読書メモ

本との出会い徒然に

 リリーと海賊の身代金

リリーと海賊の身代金 上 ~魔法の宝石に選ばれた少女~

リリーと海賊の身代金 上 ~魔法の宝石に選ばれた少女~

リリーと海賊の身代金 下 ~魔法の宝石に選ばれた少女~

リリーと海賊の身代金 下 ~魔法の宝石に選ばれた少女~

表紙のイラストはとてもかわいくて夢いっぱいなのですが、内容は意外にもシビアでシュール。登場する大人たちのほとんどが、ひとくせもふたくせもある難物(腹黒い、あるいは残酷etc)ばかりなのです。
主人公が絶体絶命のピンチになっても、魔法のような必須アイテムもなければ、胸がすくような正義のヒーローも現れてはくれません。頼みは自身の知恵と勇気とわずかばかりの運なのです。
物語は漁師の娘リリーと海賊の王の息子ゼフを中心に、誘拐された首相の娘のレクシーも加わって、子ども目線(リリーとゼフの一人称)で進みます。リリーから見れば、敵も味方も、どちらもおろかで醜いのです。大人たちの起こす戦争が、いかに悲惨で無意味なものか、作者は間接的に揶揄しているのかもしれません。
奴隷にされようが、殴られようが、置き去りにされようが、へこたれず何度も何度も立ち上がる、折れない子どもたちと、PSAIと呼ばれる宝石の存在が印象に残りました。