うたたね日和♪読書メモ

本との出会い徒然に

 この空の下で

この空の下で (あさがく創作児童文学シリーズ)

この空の下で (あさがく創作児童文学シリーズ)

広島に落とされた原爆によって引き裂かれた、正法と加之子の切なく悲しい恋。加之子の弟、十二歳の少年・高志の視点で、命の尊さを骨太に描く。
「原爆は空から降ってきました。けれど、僕たちはそれでも空を見上げます」<帯文より>
戦争の悲惨さ、原爆の残酷さ、人間の心の理不尽さ。
静かな語り口で淡々と・・・。
時に力強く、とめどもなくやさしい。
「待つ 待つ 待つ。針は、そう、つぶやいているようでした」
「命がももええよ、と言うてくれるまで、うちは生きるんじゃ」<本文より抜粋>
明確なテーマを真正面から描いた児童小説。魂のこもったメッセージが、まっすぐ読み手に届いてくる。伝えようとする思いが心を揺さぶる。
表紙絵の清々しい空の色が、悲しみだけには終わらせない未来への明るい希望を教えてくれる。
「打ちひしがれることだってあるでしょう。でもまた立ち上がるのです。そして一歩だけ進むのです」<表紙文より>