うたたね日和♪読書メモ

本との出会い徒然に

りぼんちゃん

 

かわいらしい表紙絵とタイトル。中学年から読めるほのぼの系読み物と思いきや、とんでもなくハードな内容の本だった。

<以下、ネタバレ>

 

一見和やかに見える学校生活の前半。

主人公の創作する物語・本の物語・現実・過去のエピソードを交え、

四つの世界がバランスよく組み合わさって進行する。

よくあるいじめの話?と思いきや。。。

中盤から後半。

親友の父親が登場した当たりから、一気に不穏な空気が流れ出す。

どうしようもない閉塞感と憤りにとらわれることになる。

テーマは児童虐待。言葉のDVだった。

主人公が親友の命を救う場面は不覚にも涙が出てしまう。

読後感は良い。希望を持てる終わり方だった。

でも現実はこうはいかない場合方が多いだろう。

そう思うと切ない。

大人がしっかりしなくちゃ、と思わされた本だった。

 

本作は『赤ずきんちゃん』がベースであるから、オオカミは「わざわい」の象徴とされている。しかし、本当に怖いのは「人間」の方であることを忘れてはならない。

 

行間から作者の思いがあふれている。

物語が言葉を紡がせている。

読者を引き込む勢いがある。

作者は29歳でこの作品を執筆されたという。

言わずもがなである。