- 作者: 椎名誠
- 出版社/メーカー: 毎日新聞社
- 発売日: 2014/04/25
- メディア: 単行本
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ひさしぶりにシーナ節を読めた気がしてうれしかった。
さかんに自分のことを「じいさん」とおっしゃっているが、三階から一階まで、いっきに数回上がり降りできる「じいさん」はめったにいない。
世界中を巡り「自分から突撃していくような」生死ぎりぎりの体験談を語れる「じいさん」もほとんどいないと思う。
日常的身辺エッセイから、辛口世相批評、果ては環境破壊の危惧・原子力発電への憂慮まで。2013年夏から今年の春までのレアなエピソードがうれしい。
世界規模の経験値によって発せられる言葉は、口調は軽いが中身は重いのだ。
『おっさんはいっときもカツ丼をテーブルの上にはおかず、ずっとがっしり左手でつかんだまま「がしがし」と食っている。ほれぼれするような箸と丼の連続技だ。ときどきオシンコをつまみ、味噌汁は箸を置いて右手で椀をつかんで飲む。カツ丼を持つ左手はあくまでもどんぶりを掴んだままだ。なんとなく猛禽類が獲物を確実に食っていく動作を連想した、これぞ本物のカツ丼の食い方だ』(本文より)
この文章! まるで私の目の前で「おっさん」がカツ丼を食べているみたいではないか。
あまりの名調子(?)に、側でテレビを観ていた夫に読んで聞かせたくらい(笑)
驚いたのはシーナさんが、PCで執筆されているということ。
手書きはいつから止めたのかな。なんだかシーナさんがキーボード打ってるイメージがなかったのだった(当社比)