サービス付き高齢者向け住宅「サ高住」。主人公のカヤノ・70歳はそこに住んでいる。きままな一人暮らしを満喫しつつも、人間関係や親子関係では頭を悩ますこともある。黄昏の淡い恋と失恋(ちなみに、まどかさんと風間さんのエピソードは『アンの青春』のミス・ラベンダーとアーヴィング氏のロマンスを彷彿する)を経て、人は結局自らを幸せと思うことで幸せになれるのだ、という思いにたどり着く。
経済的・社会的に仕事を持ち自立している、車の運転ができる、子供たちは大人である、自分の健康に不安がない、お守りをしなければならない小さな孫がいない、などの条件があってこそ成り立つ物語でもある。
現実的に考えれば「サ高住」が、本当に「終の住処」となるかどうかは、それぞれのサ高住の規定による。たとえば身体的に動けなくなった時、同系列の特養施設に移住できるかどうか、看取りまで面倒みてくれるのかどうか、デイサービスに通うことはできるか、入所するときの条件はよく知っておく必要がある。