タイトルから想像していたものとは良い意味で違った。森絵都さんの綴る文章からは、心地よいリズムみたいなものを感じる。
どの短編も日常から非日常に至るまでのあわい(本文中の言葉を借りれば)を漂うようでいて、実はしっかりリアリズムに根差していたりする。
どの短編も楽しめたが、『スワン』『ポコ』『あした天気に』が心に残った。特に『あした天気に』は、てるてる坊主が「はればれ」「さむざむ」というたびに、可愛くてにやけてしまった。
森絵都さん。児童文学作家としてデビューされたとき、その文章の輝きに圧倒された。
『リズム』『宇宙のみなしご』『アーモンドチョコレート入りのワルツ』『つきのふね』『カラフル』は何度も再読した。
一般小説に活躍を広げられてからは、未読の本がたくさんある。いつか手に取って読んでみようと思う。