うたたね日和♪読書メモ

本との出会い徒然に

 ほおずきちょうちん

ほおずきちょうちん (新・わくわく読み物コレクション)

ほおずきちょうちん (新・わくわく読み物コレクション)

ゆうれいは怖い。だれだって、そう思うにちがいありません。でも怖くないゆうれいだって、いるかもしれない。この本を読んで、何十年も前のことを思い出しました。
わたしが中学生の頃の話です。担任の先生がおかあさんを亡くされました。朝の会のとき、わたしたち生徒に向かって、その先生は言われたのです。
「ゆうれいでもいいから、もう一度ぼくの前に出てきてほしい」
主人公、ゆい子の大おばあちゃんは、亡くなったにも関わらず、ゆうれいになって家族の前にあらわれるのです。いえ、家族だけではありません。だれにでも見えてしまうゆうれいなのです。ゆい子の親友のちーちゃん、クラスメイトの健太にも見えてしまうのです。
おかげでゆい子は、みんなから、仲間はずれにされたり、友情にうらぎられたりしますが、大おばあちゃんの心残りを、いっしょうけんめい家族で探すうちに、本当に大切な心をみつけることができるのでした。
赤いほおずきに込められた、大おばあちゃんの淡い恋。
読後、やさしい気持ちにさせてくれる本でした。