うたたね日和♪読書メモ

本との出会い徒然に

 京のかざぐるま

京のかざぐるま (シリーズ本のチカラ)

京のかざぐるま (シリーズ本のチカラ)

著者は、『なまくら』『竜と舞姫』の吉橋通夫さん。1989年度児童文学者協会賞受賞作。『なまくら』と同じく、舞台は幕末。七つの短編の主人公は、それぞれ名もない十代の働く子供たちです。難解な言葉や文章は、ありません。ただ、読む人の心を打つ「思い」が、ページをくるたび、文脈から伝わってくる。
自分はなんのために働くのか。生きるとは。。。人を信じる、ということは。。。長い年月を経て、再び、読み手へと届いた物語です。
児童文学作家・後藤竜二さんの解説が、すべてを言い表しています。
意志の楽天性=迷いながらも、人らしく生きたい、という素朴な願い。
前述の『なまくら』と合わせて、ぜひ二冊とも、文庫版で出版してほしいです。子供たちはもちろんですが、現代に疲れた大人たちにも、読んでもらいたい本です。