うたたね日和♪読書メモ

本との出会い徒然に

童話と書きたい人のための本

角川学芸ブックス 童話を書きたい人のための本

角川学芸ブックス 童話を書きたい人のための本

上條さなえさんの本といえば、元気な男の子が主人公、人情味のある物語という印象がある。この本は、その物語の原点となった筆者の児童文学作家としての人生譚と、「書いて癒される」という童話の効用について、目標を見失った、あるいは、行き詰まった人たちへの提案である。
興味深かったのは、「中年女性に薦める童話」の章。<思わず書きたくなるテーマ>として「初恋」を上げ、失われつつある<愛される存在>の復古を物語の中で実現しよう、という試みだ。世界にたったひとつだけの、自分のためだけの童話を書く。その行為が閉じかけていた希望の扉を再び開く気力になるというのだ。
プロの作家を目指す人のためのアドバイスや公募の紹介もあるが、心を癒すための童話、自己探求のための童話創作にポイントを置いてある本だと思う。