うたたね日和♪読書メモ

本との出会い徒然に

 葛野盛衰記

葛野盛衰記

葛野盛衰記

読むのに時間がかかった。452ページというページ数ではなく、内容が深くて、読みがいがあった、ということだ。
日本史は好きであったはずなのに、平安から鎌倉までの知識は、驚くほど曖昧だ。さまざまな歴史小説のなかで、スポットを当てられてこなかった時代、視点であったからかもしれない。本の最後に付記された登場人物関係図は、絡み合った頭を整理するのに役立った。
物語は、第一部と第二部の二本の柱に分かれている。どちらも魅力的な登場人物にあふれ、人間ひとりひとりの人生が、見事に描かれていた。壮大な物語絵巻のすべてが印象深いが、藤原薬子に対する今までにはない解釈に、新鮮な感動をおぼえた。