うたたね日和♪読書メモ

本との出会い徒然に

アイスプラネット

アイスプラネット

ぼくは原島悠太。中学2年生。家には、38歳のおじさん、「ぐうちゃん」がいる。ぐうたらしているけど、ぼくはぐうちゃんが好きだ。世界中を旅してきたぐうちゃんの話は、信じられないような「ほら話」ばかりだけど、とにかく、おもしろいから。(表紙文より)
「ほら話」と書いてあるが、「ほら」ではないと思う。実際、椎名誠さんが世界中を旅して得た貴重なエピソードが写真と共にちりばめられている。
その昔、椎名さんの、エッセイと呼ぶにはハードすぎる冒険譚に魅せられ、新しい本が出版されるたび読破していった。
本書は2012年から光村図書の中学2年生の教科書『アイスプラネット』という短編小説が骨子であり、今回長編に改稿されたそうだが、物語性は薄い。
むしろ読者が中学生対象ならば、ぜひ椎名さんの過去の本『零下59度の旅』『パタゴニア-あるいは風とタンポポの物語り』『ロシアにおけるニタリノフの便座について』『風の国へ・駱駝狩り』『砂の海 楼蘭タクラマカン砂漠探検記』をお勧めしたい。時は遡るので、現代の世界情勢とは変わってきているが、人間観察に的を絞れば抜群に面白いし、10代の子どもたちの世界観が広がると思う。
この小説の参考文献に挙げられている本『生物の大きさとかたち』『地球がもし100㎝の球だったら』『絵で見る比較の世界』etc.も興味深い。