うたたね日和♪読書メモ

本との出会い徒然に

 ファンタジーを書く ダイアナ・ウィン・ジョーンズの回想

ファンタジーを書く: ダイアナ・ウィン・ジョーンズの回想 (徳間書店の子どもの本)

ファンタジーを書く: ダイアナ・ウィン・ジョーンズの回想 (徳間書店の子どもの本)

小さめのフォントで二段組、3㎝ほどの厚み。まるでD・W・Jの作家人生を百科辞典にしてしまったような本だった。講演会、寄稿文、インタビュー、対談記事などが、隙間なくぎっしり詰まっている。読み切るのにかなりの日数が必要だった。

創作における具体的なヒントが満載。新たな書き手への継承は、まず子どもたちの読む力を信じ、彼らに物語を手渡す側の責任を感じることだという。
ファンタジーは、神話や古典、歴史など、見えない部分の旺盛な知識と書き手の飽くなき探求心・想像力がなければ成し得ないのだ。

・・・なんて書くと大変、難解そうだが(実際、難解なのだが)ジョーンズさんらしい、歯に衣を着せない発言や、思わず笑ってしまう編集者とのエピソードなど、そのまま作品世界に通じるものもあって、ファンとしては大満足の一冊だった。

読後、付箋だらけになった本から、大切な文章を抽出し、φ(..)メモメモした。

「もしも。。。。。ならばどうなる?」とう問いかけを行い、そこから生まれる可能性を楽しみと驚きを持って検討していく。

ただ一つ単純ではっきりした場面から始めることで、作家は人間のあらゆる思考と感情を描き出せる。(本文より)

本文のインタビューで、まったく違った神話を持つ日本において、なぜ、ジョーンズさんの本が、多くの好意をもって受け入れられているのか、ご本人はよくわからないとおっしゃっていた。
この疑問に関してわたしは、その理由のひとつとして、日本の翻訳者の方々と挿し絵・佐竹美保さんのD・W・J作品に対する敬意と情熱(愛)の成果だと思いたい。