うたたね日和♪読書メモ

本との出会い徒然に

 

窓 (創作児童読物)

窓 (創作児童読物)

 

 かわいらしい装丁とタイトルに惹かれて手に取ったが(図書館で)内容は予想外に社会派で重かった。

主人公・窓香の母親・真美子は、山本美香さん(シリヤ内線の取材中に亡くなられたジャーナリスト)のような女性だな、と思っていたら、あとがきで、作者がこの本を執筆するにあたり『ぼくの村は戦場だった』(山本美香・著)を参考にしたと書いてあった。

であれば、窓香が母・真美子の書き残した物語の続きを書くことを<結末>として、物語を美しく終わらせてしまったのは、残念な気がした。

思いを表現することが大切というのは理解できる。

しかしジャーナリストとしての母の苦労や苦悩は?

真美の中でどう消化されたのか。されなかった。

それと、ほとんど間接的にしか描かれてない父親の存在が不自然。彼と真美にも父娘としての生活があったはずだ(母よりも長く)。葛藤があったはずだ。なのに描かれてない。父娘の関係が妙に希薄であること。なぜ祖母を通じてしかコミュニケーションがとれないのか、など。

読後は、やや不完全燃焼気味であった。

めずらしく辛口になってしまった。なんでだろう。

あくまで個人的感想なのでお許しください。