うたたね日和♪読書メモ

本との出会い徒然に

香君 下 遥かな道

 

美しい表紙画に物語の余韻を残す。

無益な闘いや殺戮はほとんど描かれず、ただ人々はいろいろな立場で与えられた使命に全力を尽くしていく。

人間も虫も植物も、みな同じ命あるものとして、最良の方策を見出したアシュレ・・・。

彼女の行く先が、まっすぐな白く輝く道であったことに安堵し、少しばかりの哀愁も感じつつ本を閉じた。

 

上橋菜穂子さんのファンタジーを私は勝手に「社会派ファンタジー」と呼んでいる。物語世界を細部(政治・経済・思想・生活etc)まで構築し、まるで彼らが、彼らの国々が、本当に存在するかのようだ。

なのに難解にならず理屈っぽくならない。

作者の深い愛情と熱い情熱が込められているからに違いないと思う。