うたたね日和♪読書メモ

本との出会い徒然に

2024-01-01から1年間の記事一覧

翔の四季 春 ~見えるもの見えないもの~

見えるもの 見えないもの 翔の四季 春 作者:斉藤 洋,いとう あつき 講談社 Amazon ↓ネタバレ注意 翔の四季を読んできたが、今巻が最終巻?今までで一番、難解だった気がする。 <見えるもの見えないもの>の解釈に結論が示されたわけでなく、問いかけられた…

さよならミイラ男

さよならミイラ男 作者:福田隆浩 講談社 Amazon 主人公アキトが健気でやさしくて、大人としては、いたたまれなくなる。クラスメイトの工藤さん、図工室の庄司先生など、救ってくれる人たちがいてよかった。ラストシーンの感動は児童文学ならではの恩恵だろう…

机の下のウサキチ

机の下のウサキチ 作者:岡田 淳 偕成社 Amazon 挿絵と物語が紙芝居のようにとけあってファンタジーの世界が構築されている。絵に描かれた伏線が物語が進むたび、次々と組み込まれていく過程をわくわくしながら読んだ。ひさしぶりの岡田淳ファンタジーワール…

魔女の一日 魔女になるための秘密

魔女の一日 魔女になるための秘密 作者:飯島都陽子 金の星社 Amazon 魔女になるための秘密、実践編。美しく精巧に描かれた挿絵。魔女の暮らし。 リアリティあふれる一日として描かれている。ハーブの種類と効用、魔女の含蓄ある言葉など、絵本の枠を超え読み…

秘密に満ちた 魔石館 5

秘密に満ちた魔石館5【小学3-4年生、中学年の読み物】 作者:廣嶋 玲子 PHP研究所 Amazon 魔石館シリーズも5巻目。今巻は魔石館に来るのを拒む石たちの話です。 彼らは<拒む石>らしく、頑固で濃いめのキャラが多かった気がします。 波乱万丈の主人公と絡め…

枕草子のたくらみ

枕草子のたくらみ 「春はあけぼの」に秘められた思い (朝日選書) 作者:山本 淳子 朝日新聞出版 Amazon 古典として授業で学んだときは、源氏物語に対し、明るいエッセイ風の日記としてしか捉えていなかった。今年(2024年)の大河ドラマを視聴するのを機…

月さんとザザさん

月さんとザザさん 作者:角野 栄子 小学館 Amazon 森の一軒家に住むザザさんは、皮肉屋のおばあさん。 ある日、月さんと知り合うことになり、月さんの語る話をきくうち次第に心を開いていく。家出をしたい家のスミコさんの存在が良い。 著者の描かれた挿絵が…

喫茶おじさん

喫茶おじさん 作者:原田ひ香 小学館 Amazon 主人公・松尾純一郎57才。勤めていた会社を早期退職し、喫茶店経営を始めたが、あえなく破綻。現在は再就職先を探しながら、趣味の喫茶店巡りをしている。 純一郎の喫茶レポートはさながら「孤独のグルメ」のよ…

もりあがれ!タイダーン

もりあがれ!タイダーン ヨシタケシンスケ対談集 (MOE BOOKS) 作者:ヨシタケシンスケ 白泉社 Amazon 表紙から裏表紙まで、すみずみヨシタケシンスケさんの世界。 『もりあがれ!タイダーン』の出現によって盛り上がった?対談は多方面に渡る。 本の匠たちの…

小日向でお茶を

小日向でお茶を 作者:中島 京子 主婦の友社 Amazon 中島京子さんのエッセイ(2018.10~2022.9)前半は海外での話題、中盤から後半にかけてはコロナ禍での日常。ほんの数年前のことなのにもうずいぶん月日がたったように思えてしまう。食と健康の話は一貫し…

かわらばん屋の娘

かわらばん屋の娘 (くもんの児童文学) 作者:森川 成美 くもん出版 Amazon 時代は江戸末期、天災、疫病、侵略の危機。不穏な時代は何故か現代の世界と重なる。 主人公の吟は父の奔走によって幼い弟と二人きりになってしまうが、家業の瓦版屋を続けることで日…

なんとかなる本 樹本図書館のコトバ使い①

なんとかなる本 樹本図書館のコトバ使い(1) 作者:令丈 ヒロ子,浮雲 宇一 講談社 Amazon こまったときに現れる赤色の表紙の本。形態は受け取る子供たちによって違うようだ。樹本図書館と本の樹という設定が面白い。 なんとかして、とう気持ちから生まれた本が…

照子と瑠衣

照子と瑠衣 作者:井上荒野 祥伝社 Amazon 照子と瑠衣、二人の生き方がとても自由で爽快だった。といっても70才になるまでの道程は波乱万丈、身につまされるものであるのだけれど。 カッコいい大人の友情と、過去の自分を踏襲しつつ、周りの人々をも巻き込…

ミリとふしぎなクスクスさん

ミリとふしぎなクスクスさん (GO!GO!ブックス 7) 作者:戸森 しるこ ポプラ社 Amazon 主人公は小学四年生のミリ。友だちのさくらとささいなことで冷戦状態に。そんなある日、ひょんなことからパスタの国に引き込まれてしまう。一見平和そうに見えたパスタの国…

きょうはおやすみします がっこうのてんこちゃん

きょうはおやすみします がっこうのてんこちゃん (福音館創作童話シリーズ) 作者:ほそかわ てんてん 株式会社 福音館書店 Amazon だれでも学校に行きたくない気分になるときがある。そんなときはむりをしなくていいんだよ、というメッセージが伝わってくる。…

キュリオとオウムの王子

キュリオとオウムの王子 (わくわくライブラリー) 作者:斉藤 洋,ももろ 講談社 Amazon キュリオとベベのコンビも三巻目。今回はオウムの王子さまのお嫁さん探し(のお手伝い)です。マダム・ローゼンタールを加えて、2人と1頭が即興の歌を歌うシーンは思わず…

ふでばこのくにの冒険 ぼくを取り戻すために

ふでばこのくにの冒険: ぼくを取りもどすために 作者:村上 しいこ 童心社 Amazon タイトルから想像していたものとは違った。両親の離婚に始まり、母親によるDV、大人なりきれない大人、ジェンダーなど、内容は幾重にも重い。 岡本順さんの描かれる愛らしいキ…

ベスト・エッセイ 2023年

ベスト・エッセイ2023 作者:角田光代,林真理子,藤沢周,堀江敏幸,町田康,三浦しをん,赤木明登,阿川佐和子,秋田麻早子,浅田次郎,荒俣宏,石田夏穂,磯野真穂,稲垣栄洋,今井真実,上田岳弘,内澤旬子,内田春菊,大辻隆弘,小川哲,奥泉光,鎌田裕樹,川添愛,神林長平,岸…

ワケあり式部とおつかれ道長

ワケあり式部とおつかれ道長 (単行本) 作者:奥山 景布子 中央公論新社 Amazon 平安BAR『BARゆかり』。式部ママ、バーテンダー行成の店に次々と当時の平安貴族たち(道長、詮子、繁子、花山天皇、賢子)が来店する。 インタビュアーは出版社の編集者、という…

大掴源氏物語 まろ、ん?

大摑源氏物語 まろ、ん? (幻冬舎単行本) 作者:小泉吉宏 幻冬舎 Amazon 再読。この本を購入したとき(2002年)、NHK大河ドラマに紫式部が主人公で登場するなんて思いもよらなかった。いつかは源氏物語を制覇したいと予習のつもりだったが、結局この本で…

紫式部は今日も憂鬱

紫式部は今日も憂鬱 令和言葉で読む『紫式部日記』 (扶桑社BOOKS) 作者:堀越 英美,紫 式部 扶桑社 Amazon 現代風な話し言葉で書かれているので読みやすかった。引きこもり勝ちな紫式部が次第に女房としてキャリアを積んでいく姿が記されている。 「女三…

いつまで ~しゃばけシリーズ~

いつまで 作者:畠中 恵 新潮社 Amazon しゃばけシリーズ第二十二弾。ひょんなことから五年後に落ちてしまった若旦那。 個性あふれる妖しの仲間たちは少しも変わっていないのに、人である於りんちゃんは美しい娘さんに成長していた。 初登場の以津真天(いつ…

小公女たちのしあわせレシピ

小公女たちのしあわせレシピ 作者:谷 瑞恵 新潮社 Amazon 子どもの頃読んだイギリス児童文学に登場するお菓子たち。美しいレシピつき。 記憶喪失の女性が何十年も、どうやったら身ぎれいを保ち、ホテルに泊まれ、秘密の花壇を守り、豚のムシャムシャを飼える…

思い出の屑籠

思い出の屑籠 作者:佐藤愛子 中央公論新社 Amazon 屑籠とは「紙くずなどを捨てるかご」とある。筆者らしい潔いタイトルだが、けっしてそうではないことがわかる。 大正から昭和初め、筆者の幼少期から小学校時代までの思い出、珠玉のエッセイ。 現代において…

フォグ 霧の色をしたオオカミ

フォグ 霧の色をしたオオカミ 作者:マルタ・パラッツェージ 岩崎書店 Amazon 正統派のイギリス児童文学。希少なオオカミを救おうとする少年のお話。舞台は19世紀ビクトリア王朝時代。孤児となった主人公クレイと彼をとりまく友人たち、恩人との固い絆。そ…

はざまの万華鏡写真館

はざまの万華鏡写真館 (KADOKAWA TSUBASA BOOKS) 作者:廣嶋 玲子 KADOKAWA Amazon 廣島玲子さんによる不思議譚。そういえば写真の日本伝来は江戸時代。当時は人の魂を吸い取ると恐れられていたときく。 魂とその人にとって替えがたいあるものとの交換という…

パッキパキ北京

パッキパキ北京 (集英社文芸単行本) 作者:綿矢りさ 集英社 Amazon 作者さんの中国滞在エピソードが随所にいかされていて、ドキュメントしても小説としても楽しく読めた。 主人公の菖蒲(あやめ)さんは、現代(いま)を生きるカッコイイ女性だと思う。 ひと…

お探し物は図書室まで

お探し物は図書室まで 作者:青山 美智子 ポプラ社 Amazon 一人称で5話の連作。それぞれの主人公はコミハ(コミュニティハウス)にある図書室で繋がっている。 司書の小町さんの存在が圧巻だった。『銭天堂シリーズ』(廣島玲子・著作)の紅子さんがふと浮か…

じい散歩

じい散歩 (双葉文庫) 作者:藤野千夜 双葉社 Amazon 主人公新平さん89才、妻の栄子さん88才、軽度の認知症疑い。長男と三男は中年を過ぎても独身で同居中。独立している次男は長女を自認している。 言わばいろいろ抱えている家族なのだが、新平さんはただ…

十年屋7 タイムセールいたします

十年屋7 タイムセールいたします 十年屋シリーズ 作者:廣嶋玲子 静山社 Amazon 十年にゃ、じゃなくて十年屋でタイムセールとはいったい?と思っていたら、いつもとは違う起承転結の運び。新鮮だった。イチゴのエピソードからのイチゴ終わり。最後はびしっと…