うたたね日和♪読書メモ

本との出会い徒然に

 恋衣とはずがたり

恋衣―とはずがたり

恋衣―とはずがたり

古典の「とはずがたり」を作者の娘・露子の視点で読み解いていく、私小説風歴史物。14歳から49歳まで、鎌倉後期の宮廷に生きたひとりの女性の波乱に満ちた人生をたどっていく。
前回の「源平六花撰」と比べると、男性たちに翻弄される女性、といった感じで、どろどろ感が意外と重かったが、後半、尼となって放浪の旅に出るあたりから、露子が夫の忘れ形見をひきとるラストまでには、露子の気持ちと共感する形で昇華されていった。詳細な知識と豊富な表現力で、とっつきにくかった古典を、やさしくわかりやすく講義してもらったような気がした。