2009-08-16 恋衣とはずがたり 一般小説 時代・歴史小説 恋衣―とはずがたり作者: 奥山景布子出版社/メーカー: 中央公論新社発売日: 2009/03メディア: 単行本 クリック: 5回この商品を含むブログ (4件) を見る古典の「とはずがたり」を作者の娘・露子の視点で読み解いていく、私小説風歴史物。14歳から49歳まで、鎌倉後期の宮廷に生きたひとりの女性の波乱に満ちた人生をたどっていく。 前回の「源平六花撰」と比べると、男性たちに翻弄される女性、といった感じで、どろどろ感が意外と重かったが、後半、尼となって放浪の旅に出るあたりから、露子が夫の忘れ形見をひきとるラストまでには、露子の気持ちと共感する形で昇華されていった。詳細な知識と豊富な表現力で、とっつきにくかった古典を、やさしくわかりやすく講義してもらったような気がした。