うたたね日和♪読書メモ

本との出会い徒然に

 火群のごとく

火群(ほむら)のごとく

火群(ほむら)のごとく

児童小説、絵本、童話、SF、エッセイ、あらゆるジャンルを書きわけるあさのあつこさん。なかでも時代小説は、すっかり定番になった感がある。
江戸時代の血気盛んな少年たちの群像を、殺人事件と政争にからめて、生き生きと、ときにせつなく描く。いつも思うことだが、ストーリーの節目に綴られる風景描写が秀逸。「まるで、文章の3Dや〜」
ただ、惜しいことに、最後があまりに急ぎすぎた。ページ数が増えて上・下巻になったとしても、もっとていねいな収め方をして欲しかった。犯人の独白は、あまりにも強引。作者の意図が見えてしまったのが残念でならない。
林弥、透馬の今後に期待。<江戸修行編>を望みます。装丁の絵は、佐藤真紀子さんがいいな。