- 作者: ジョナサン・ストラウド,金原瑞人,松山美保
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時代は、ソロモンが支配する古代エルサレム。前シリーズでは中年の哀愁を漂わせていた(?)バーティミアスも、エルサレムではまだ若々しい青年ジンのようです。
一巻ではお馴染みのフェイキアールが登場するサービスぶり。新ヒロインのアズマイラを始め、最後まで素顔が見えてこないソロモン王。ヒール役のカーバなど、今回も個性的な登場人物(あるいは妖霊)がたくさん出てきて脇をがっちり固めています。
物語としては、二週間あまりの短期間のできごと(前回のような大河的な流れにはない)なのですが、二転三転するエピソードが、ハラハラドキドキ感をぎゅっと凝縮させてくれるのです。手に汗握るシーンの多いこと。外伝とは思えない迫力でした。
バーティミアスの欄外注釈も相変わらず健在&達者で笑わせてくれるし、最後まであきらめない彼の前向きなスピリットは読む方にも元気を与えてくれます。
勇気があって正義感が強く、信念をもっているアズマイラは、バーティミアスの援助もあって、真実を知ることになります。そして、自分のための人生を歩み始めます。アズマイラの将来は、「守り人」の「バルサ」みたいになるのかしら。なんて、想像を膨らませてしまいました。
翻訳家・金原瑞人さんによるカーテンコールのような<あとがき>もすばらしく、続巻の希望が持てそうな印象を受けました。
できれば次は、ナサニエルとバーティミアスの最強コンビで・・・。ナサニエルが14歳から17歳のまだ描かれてない空白の時を(その間、二人で解決した事件を)外伝としてこの世に召喚して欲しいと思いました。