うたたね日和♪読書メモ

本との出会い徒然に

炉辺荘のアン

 

アンが主人公である最後の巻。それを意識するように懐かしい人たちの名前や思い出が要所要所にちりばめられている。

子供たちを主人公にした短編も、ほのぼのとてして面白かったが、後の彼らの行く末を知っているので、少しせつなかった。

短編では『ピーター・カークの葬儀』が印象に残った。(村岡花子さん訳では、この章は、あったかどうか。確かめたい)

また、かつての恋のライバル・クリスティーンの登場が興味深かった。現代から見ればクリスティーンは魅力的な女性に思えるのだが、良妻賢母として家庭に収まったアンの両極端として描かれているのが面白い。時代的なものだろう。

松本さんによる解説『登場人物・六人の子供たち』『全四十一章の構成』『家庭生活の喜び』は『炉辺荘』をさらに深く楽しむことができた。『本作を捧げた男性・・・』はまるでひとつの小説のようだった。

アンが主人公でなくなる次の巻を読むかどうかはわからない。戦争で失うものが多く読むのがたぶんつらいと思う。

 

閑話休題

こまったことに村岡花子さん訳の『赤毛のアン』を読み返したくなってしまった。

松本さん訳のあとに再読する村岡さんのアンはどんなふうに読めるだろう。