うたたね日和♪読書メモ

本との出会い徒然に

 鷺と雪

鷺と雪

鷺と雪

「帝都に忍び寄る不穏な足音。昭和十一年二月、雪の朝。運命の響きが耳を撃つ」〜帯より〜
美しく丁寧な文章にうっとり・・・。主人公、英子の目を通じて、読者である私も、昭和十一年にタイムスリップしたような臨場感を味わった。英子のいる「現代」は、すでにわたしたちにとって歴史でしかないのだけれど、これからの英子たちの行く末を考えると心が痛む。
「別宮には何もできないのです。<中略>お出来になるのはお嬢様なのです。明日の日を生きるお嬢様方なのです」
ベッキーさんのこの言葉は、ひょっとしたら、北村さんご自身から読者に渡されたメッセージなのかもしれない。