うたたね日和♪読書メモ

本との出会い徒然に

 氷の華

氷の華

氷の華

殺人事件の犯人を、老練な刑事が追い詰めていくという構図の裏に、じつは、もうひとつの深淵な犯罪の存在がある。
なにげないセリフや行動に、複数の重要な伏線が張られている。すぐれた構成力、緻密な取材が、曖昧な犯行動機の位置づけを見事に払拭している。この動機の曖昧さについては、幻冬舎ルネッサンスのサイトで筆者自らが、確信犯であったことを語っている。とてもデビュー作とは思えない。還暦前の数年をかけた作者の信念と筆力を讃えたい。