物語の役割

物語の役割 (ちくまプリマー新書)

第一部 物語の役割
　『博士の愛した数式』が生まれるまで。ホロコースト文学の中の物語作家は小説の後ろを追いかけている。ホロコースト文学の中の物語

第二部 物語が生まれる現場
　死んだ人と会話するような気持ち。ストーリーは作家が考えるものではない。小説は過去を表現するもの。あらゆるものの観察者になる。

第三部　物語と私
　『トムは真夜中の庭で』。いったん自分から離れて観察者になる。

個人的には、第二部が興味深かった。
＞「死んだ人と会話するような気持ち」が創作のコツ、というのを読んで、なぜか、おいしい老舗のうなぎ屋さんに、こっそり秘伝のたれの成分を教えてもらったような気持ちになった（おかしな比ゆでごめんなさい）
細やかな観察眼と豊かな感受性。それを文字に表すことができる力。プロの作家さんというのは、やはり尋常でない才能の持ち主なのだと感心する。