うたたね日和♪読書メモ

本との出会い徒然に

 こころと脳の対話

こころと脳の対話

こころと脳の対話

脳科学者とセラピストの対談、というより、茂木さんが一方的な聞き手となって、読者もいっしょに河合先生の講義を受けているような感じだった。
河合隼雄さんの一ファンとしては、素直に喜ばしいのだけど、河合先生としては、セラピストとしての経験を脳科学との対比によって、「人間のこころ」を違った角度で論じ合いたかったのではないかしら。
河合先生ご自身の脳が、治療中、科学的にどう反応するのか。患者と寄り添い、そしてそれが上手く効果を上げていくとき、どういう解釈をつけることができるのか。茂木さんの科学者としての意見をききたかったのではないのかなと思う。
もうお二人の対談を永遠に読むことはできないと思うと、そこがとても残念だ。
「中心をはずさず人間を見る」「関係性を重んじる」「内なるもの(魂)と外の世界が一致することをシンクロニシティという」など、人と付き合う上で、まったく違った窓があることに気づかせてもらった。今回はハードカバーを読んだが、次は文庫版を購入したい。