うたたね日和♪読書メモ

本との出会い徒然に

 サースキの笛がきこえる

サースキの笛がきこえる

サースキの笛がきこえる

『「いいかね、おまえをとりかえるのだ。人間の子どもととりかえる。(中略)人間の血がまじったものは、妖精の世界ではうまくやっていけない。けっしてうまくいかないのだ」
「でも、あたし、妖精でもあります。半分は妖精です!」』(本文より)
「ほかの人とちがう、と感じたことのあるすべての子どもたちに」(作者より)

日本の昔話『浦島太郎』を思い出した。本書の妖精の定義は、日本の妖怪みたいだ。
ひととは違った感覚を持つ「あやかし」のよう。
サースキはそんな妖精と人間の間に生まれ、どちらの世界にも疎まれる存在なのだ。
おとぎ話のようなファンタジーではない。あくまでもリアリズムが中心。
救われるのは彼女には、貧しい中にも、サースキを心から愛してくれる両親とおばあさんがいることだ。タムという友人を得たことだ。
サースキの決断は悲しいけれど、正しいことだったのだなと、しみじみと感じいった。最後は、本当にハラハラドキドキの連続だ。
作者は2000年に亡くなっている。他の作品も読んでみたい。