うたたね日和♪読書メモ

本との出会い徒然に

ふたり

ふたり

ふたり

「ぼくたちは、毎日小学校で顔を合わせている。でもそこでのぼくたちは本当のぼくたちじゃない」(表紙文より)
主人公のひとり小野佳純は、転校生。クラスで陰湿なイジメを受けている。もう一人は村井准一、母と二人暮らしをしている。二人は6年3組のクラスメイトだ。
ある日、二人は偶然、図書館で出会い、共にミステリー作家の月森和のファンであることがわかる。月森和は別名義で違うジャンルの本を書いているという。准と佳純は月森和の別名義を探そうと協力し合うことになる。
人気作家のもうひとつの名前の謎解き、主人公たちを取り巻くさまざまな事情(学級崩壊、障がい、いじめ、離婚、受験)、クラスの再生と結合が、絶妙なバランスで構成されている。最後までぐいぐいと引き込まれ、いっきに読めた。この作家さんの描かれる子どもたちは、とてもリアル。日常ミステリーとして大人も楽しめる思う。
ところで、月森和のシリーズで書かれていた「女子高生と工業高校の男子生徒の恋物語」これは作者がこっそり読者に暗示した「佳純のお父さんとお母さんの出会い」の物語だったと思いたい。