ひとりづつ、思いつきの文章をワンセンテンスだけ語っていき、順番に繋げてひとつのお話に完成させるというものだった。
従妹は四人女ばかり、私は一番年下のおまけのような存在だった。
まず最年長の中学生の従妹が「ある日、泣き虫の女の子がいました」と物語の出だしを振り、次に小学六年生の従妹が「その子はとてもお腹がすいていました」と続けていく。
あとは年齢順に四年生の従妹、一年生の私と巡っていくのだが、主人公が宇宙に飛んで行ったり、怪獣が出てきたり、とんでもなく脱線するのは大抵は私の番なのだった。
そのほころびを、一番年長の従妹はこともなくつなぎ合わせ、大団円に終わらせてくれた。
この小説は、中村航さん、中田永一さんが考案された『ものがたりソフト』を元に、お二人で交互に執筆されたそうだ。子どもの頃のわくわくした気持ちを思い出した。